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    無二

    01-06,2015

    本日稽古初め。

    雨が降って風も強い夕方
    お仕事帰りに電車を乗り越して
    稽古に通って下さる
    お一人稽古の生徒さん。

    何がしたい?と伺うと
    新しいことをしたい
    と目を輝かせて仰る。
    昨年の最終稽古に包み帛紗をされたので
    その流れで大津袋を稽古してもらう。

    CIMG0776_convert_20150107155029.jpg

    一回目は運び、
    二回目は棚をつけて。
    お茶やお菓子や茶杓の銘も
    ちゃんと変えて答えようとなさる。
    お茶銘は、来る途中のお茶屋さんに
    じっと見入って覚えてきたのだとか。
    お忙しいお仕事帰りにも
    頭と心を切り替えて楽しまれるのが頼もしい。

    包み帛紗も大津袋も濃茶を差し上げる点前で、
    黒の中(小)棗を使う。
    濃茶は茶入に入れるものと固定せず、
    茶入がなくてもこの棗があれば
    濃茶を差し上げることができる。
    棗には仕覆が添っていないので
    帛紗で包んだり、縮緬の袋を掛けたりして用いる。
    点前的には、濃茶点前の流れの中で
    棗なので、器物としては棗の扱いだけれど
    茶を汲む時や拝見の時は濃茶器のような所作となる。

    薄茶を四滴など
    焼物の薄茶器を取り合わせると、
    濃茶を棗で差し上げる良さがぐっと引き立つ。
    というか、棗って女性らしくて
    これで濃茶を差し上げるという感性が
    私は好き。
    利休の頃と違って、今の時代は茶入も
    お金を出せば買えるので、
    わざわざ濃茶器として棗を取り合わせるには
    棗そのものが濃茶に値するものであることが
    前提になると思う。

    お給料で稽古道具を揃えるのに
    精いっぱいで、好きな道具や高価な道具は
    眺めるだけだった私に
    父が茶名のお祝いにと
    贈ってくれたのが近左の黒中棗。

    茶名を拝受した30歳の夏に
    家元の夏期講習に支部から行かせて頂き
    家元に直に箱書きをお願いできるとのことで
    この棗を持参し、当時の鵬雲斎御家元の花押を
    書いて頂いた。
    箱書きのものなど私の財力では過ぎたものだけれど
    この棗は、父の気持ちと
    暑くて厳しくて緊張で倒れそうだった夏期講習の光景が
    一体となって、パーソナルな物語だけれど
    語るに尽きない記念の道具。

    茶道具は高価だからと思い大切に扱う。
    そうやって物に触れる手を培っていく。
    大切なものを大切に扱う手ができると
    何だって触れられるようになる。
    というか、触れてもいいものと
    触れてはいけないものを
    察する能力ができるというか。

    そして、この高価だからという感覚が
    万人に分かりやすいものだから
    お金に換算して価値を計ろうとするけれど
    本当はどんなものも無二のもの。
    この世に二つとないものだ。
    近左の黒中棗などこの世に幾つもあるだろう。
    でも私が持っているものは
    やっぱりこの世でただ一つのもの。
    道具屋さんに並んでいたものではない
    父の応援で私の元にやってきて
    私と共に京都に赴き、まだ書いて頂いたばかりの漆を
    慌ててしまおうとして少し液溜まりのようになったのさえ
    全てに私の物語が詰まっている。
    道具は人そのもの。出逢いそのもの。
    だから大切に扱う。

    何か一つでも自分で道具を求めてみると
    きっとわかる。
    その時の自分がその道具に映っている。
    人から頂いたお道具も沢山あり、
    亡くなられた方もあるけれど
    その一つ一つに頂いた方との思い出が映っている
    普段は忘れていても
    道具を見る度にその方のことが思い出される
    だから無二のものになる。

    普通の庶民だからこそ
    心に染みる様々な出逢いを大切にしたい
    その心を持って道具と出逢い触れ合いたい。
    縁あるものが増えて
    私の教室ができていく。
    これまでの全てとこれからの全てに
    感謝の点をしっかり打って
    今年を新たに始めよう。

    生徒さんのおかげで
    よい稽古初めができた。
    ありがとう。
    私もしっかり学びます。


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